AI 教育研究所
(早稲田大学田中博之研究室)

AI教育研究所は、子どもたちの創造力と課題解決力、対話力を育てるために、人工知能(生成AI)を有効利用する方法を研究開発することをねらいとしています。
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〒169-8050  東京都新宿区西早稲田1-6-1
  
 

1. 身近な環境問題解決GPT

(1) 内容

  • 概要: 子どもたちが家庭や学校、地域で実践できる環境保護の方法(ゴミの分別、リサイクル、省エネ、自然保護など)をわかりやすくアドバイスしてくれるGPT。
  • ねらい: 地球環境や身近なエコ活動について学び、具体的な行動につなげる。

(2) ペルソナ

  • エコレンジャー・リナ(Eco Ranger Rina)
    • 若い環境活動家の少女。世界中を旅して環境保護に励んでおり、各地で得た知識を子どもたちにわかりやすく教えてくれるキャラクター。

(3) プログラム内容の具体像

  1. テーマ設定
    • ゴミ分別アドバイス/省エネチェック/自然観察など、子どもが取り組みたい環境テーマを選ぶ。
  2. 情報収集 (Riliable Information)
    • 環境省や自治体の公式サイト、NGOの資料など信頼ある情報を集める。
    • ゴミのリサイクルフローやエネルギー消費量のデータをチェック。
  3. 環境データの整理 (Objective Knowledge)
    • CO2排出量、資源ごとのリサイクル率、世界各国のエコ施策など、客観的な数字をまとめてGPTが活用できるようにする。
  4. シナリオ設計 (Creative Ideas)
    • GPTに「リナ」の口調やエピソードを設定し、具体的な質問例(「牛乳パックはどう捨てる?」など)を盛り込む。
    • 地球を旅する“リナ日記”のような要素を取り入れ、子どもを物語に巻き込む。
  5. モチベーションづくり (Original Values)
    • 子どもが「私もエコ活動をしてみたい」と思える動機を育てるよう、SDGsとの関連や「身近な行動が世界を変える」というメッセージを強調。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • 家庭での分別チェックリストを作成し、実際にGPTに質問して確認。
    • 環境クイズをGPTが出題する→クラス対抗でエコ知識を競う。
  • 学習効果
    • 正しい情報に基づいた行動(分別・リサイクル)を実践できる。
    • 環境問題への興味が高まり、地域や家族と連携した取り組みにつなげられる。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 地域差の考慮: ゴミ分別やリサイクルのルールは自治体ごとに異なる。複数地域の情報を扱う場合は、地域別の差異を明示する。
  • 出典明示: 行政や研究機関のデータを利用する際、リンクや参照元を明確にする。
  • 小さな成功体験: 子どもが取り組みやすいよう、すぐに実践できる具体策(牛乳パックの活用、おもちゃリサイクルなど)を提示し、達成感を得られる仕掛けを作る。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: ノーコードGPT構築で、環境保護の専門家「リナ」に相談する。
  • Riliable Information: 公的機関や研究データに基づき、正確な環境情報を提供。
  • Objective Knowledge: 実際の数値や統計など、客観的根拠を重視。
  • Creative Ideas: リナの旅日記やエコクイズなど、子どもが楽しく参加できる要素を盛り込む。
  • Original Values: 地球を守りたい、身近な行動から変化を起こしたいという子どもの内発的動機を促す。

2. 地域探検&観光ガイドGPT

(1) 内容

  • 概要: 自分たちの住む町や近隣地域の観光スポット、歴史的建造物、イベント情報などを紹介してくれるGPT。
  • ねらい: 地元の魅力を再発見し、地域活性化や郷土愛を育む。

(2) ペルソナ

  • タビブクロウ(Tabi-bu-kurou)
    • フクロウ型の旅案内人。夜中に飛び回りながら、こっそり地元の名所や伝統行事を見学して知識を収集している。

(3) プログラム内容の具体像

  1. フィールドワーク (Riliable Information)
    • 地域の観光協会や市役所の観光パンフレットを収集。
    • 子ども自身が実際に町を歩き、写真やメモを取って情報を追加する。
  2. 歴史・文化の裏付け (Objective Knowledge)
    • 名所の由来、祭りの起源など、歴史的背景を図書館などで調べて正確にGPTへ入力。
  3. ペルソナの設定 (Creative Ideas)
    • 「タビブクロウが夜間に見た不思議な場所」を語るシナリオ。
    • 伝説や民話を盛り込み、物語性を高める。
  4. 活用シーン (Original Values)
    • 地域の魅力を外部の人に発信する→学校の文化祭・地域イベントで活用。
    • 子ども自身の「地元を盛り上げたい」という思いを大切にする。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • 「タビブクロウに聞いてみよう」コーナーで、子どもが気になるスポットを質問。
    • ゲーム形式で「観光スタンプラリー」のアイデアをGPTからもらい、実際に学校行事に取り入れる。
  • 学習効果
    • 地域への愛着心向上、郷土の歴史や文化に対する興味が深まる。
    • フィールドワーク+AI活用の複合的学びで、主体的な調査能力が育まれる。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 古い情報の更新: 観光情報は変わりやすいため、最新データへのアップデートを定期的に行う。
  • 著作権・プライバシー: 地域の写真や映像を使用する際、撮影時の許可と肖像権にも配慮。
  • 地域連携: 地元の観光協会・商店街・老人会などと連携し、子どもたちの取り組みをサポートしてもらうと実践度が高まる。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: ノーコードGPTで「タビブクロウ」と対話し、地域情報を紹介してもらう。
  • Riliable Information: 地元の公式観光パンフや実地調査で確保。
  • Objective Knowledge: 歴史的事実や文化的背景を客観的に学習。
  • Creative Ideas: 民話や伝説をからめたストーリー設計、観光ゲーム化など。
  • Original Values: 地域に貢献したい、地元の良さを知りたいという子どもの価値観を育む。

3. 動物博士GPT

(1) 内容

  • 概要: あらゆる動物の生態、特徴、生息地などをわかりやすく教えてくれる“対話型動物図鑑”GPT。
  • ねらい: 生物への興味・関心を高め、生態系のつながりや多様性を理解する。

(2) ペルソナ

  • プロフェッサー・ポウズ(Professor Paws)
    • 猫の姿をした動物学者。お茶目だが博識で、世界中を研究旅行している設定。

(3) プログラム内容の具体像

  1. 動物情報の収集 (Riliable Information)
    • 図鑑や動物園公式サイト、信頼できる生物学資料から基本データ(体長、食性、寿命など)を集める。
  2. 生態学的視点 (Objective Knowledge)
    • 食物連鎖、進化、生息環境などの客観的学術情報もGPTに組み込み、より深い説明ができるようにする。
  3. ペルソナ/シナリオ設計 (Creative Ideas)
    • 「ポウズが研究中に遭遇したハプニング」をエピソード化し、面白おかしく紹介する。
    • クイズ:鳴き声当て、動物の足跡当てなど、子どもの参加型仕掛けを設ける。
  4. 子どもの興味誘導 (Original Values)
    • 「自分は犬が好きだからもっと知りたい」「絶滅危惧種を守りたい」など、子どもの興味と結びつけて学習動機を高める。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • GPTに質問して動物カードを作り、クラスで図鑑を完成させる。
    • 動物園での実地見学をする前に、ポウズGPTから動物の習性を学び、見学後に感想を共有。
  • 学習効果
    • 生物多様性への関心が高まり、動物保護の考え方にも触れられる。
    • 子どもが自分から疑問をもち、リサーチ能力を育む機会となる。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 正確な分類とデータ: 動物の種類・学名・生態が混同しやすいため、信頼筋を明記し誤情報を避ける。
  • 地域の野生動物に配慮: 実際に野外観察を行う場合は、生態系を乱さない、近づきすぎないなどの安全指導も大切。
  • 過度な擬人化のバランス: キャラクター性を高める一方で、実際の動物の生態と混同しないよう注意を促す。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: GPTを通じて猫の研究者「ポウズ」に質問→専門的な動物知識を得る。
  • Riliable Information: 動物園や学術資料の正しいデータを収集。
  • Objective Knowledge: 生態学や食物連鎖など科学的・客観的事実に基づく学び。
  • Creative Ideas: クイズや物語調のやりとりで楽しみながら理解。
  • Original Values: 動物愛護や生物保護への関心を深め、子どもの探究心を尊重。

4. お悩み相談室GPT

(1) 内容

  • 概要: 友人関係、勉強、生活習慣など、子どもが抱えるちょっとした悩みに寄り添いアドバイスをくれるGPT。
  • ねらい: 心理的サポートやコミュニケーション能力の向上を図り、子どもの自己肯定感を育む。

(2) ペルソナ

  • ハーティ先生(Hearty-sensei)
    • 優しいカウンセラー風のキャラクター。温かい言葉と科学的知見に基づいたアドバイスをする。

(3) プログラム内容の具体像

  1. 心理学的根拠の収集 (Riliable Information)
    • 子ども向けのメンタルヘルス資料、学校カウンセリングガイドラインなどを参考にする。
  2. コミュニケーション理論 (Objective Knowledge)
    • アサーション、感情コントロール、ストレスマネジメントといった客観的スキルを盛り込む。
  3. 対話シナリオ (Creative Ideas)
    • 子どもが入力する悩みに応じて、ハーティ先生がカウンセリング風に問いかけ、セルフケアや問題解決策を提案。
    • 「いまは落ち込んでいるみたいだね。そんなときは、深呼吸してみよう」といった具体アクションを示す。
  4. 子どもの心を開く (Original Values)
    • 「自分は大事な存在だ」「みんなと違ってもいい」といった多様性や肯定感を伝える。
    • 子どもたちが自身の価値観や感情を理解する助けとなる。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • GPTを使った「なんでも相談ルーム」:子どもが匿名で質問を入力し、その回答をクラスで共有して意見交換。
    • ロールプレイで、ハーティ先生と子どもの対話を演じる。
  • 学習効果
    • 他者に相談するハードルが下がり、心の健康に対する意識が高まる。
    • コミュニケーションスキルや共感力の育成。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 専門家の監修: 重度の悩みやいじめに関する問題では専門機関の対応が必要なことを伝える。
  • プライバシー: 子どもが相談で入力する情報を必要以上に保存・公開しない。
  • 適切な範囲に留める: GPTはあくまでサポートツール。医療・心理専門家による本格的治療の代替ではないと明確にする。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: GPTがカウンセラー的役割を担い、子どもの悩みに応答。
  • Riliable Information: 心理学理論や児童向けカウンセリング指針など信頼できる情報を活用。
  • Objective Knowledge: 客観的なコミュニケーションスキルを取り入れたアドバイス。
  • Creative Ideas: 物語的に親しみやすいカウンセラーキャラを設定し、対話体験を温かく演出。
  • Original Values: 子ども自身の存在意義や感情を尊重し、自分なりの向き合い方を学ぶ。

5. 未来のお仕事探検GPT

(1) 内容

  • 概要: 将来の仕事や職業の種類、必要なスキル、職場環境などを紹介してくれるGPT。
  • ねらい: 職業観や社会観を広げ、子どもが自分の将来に夢と希望をもてるようにする。

(2) ペルソナ

  • キャリアエクスプローラー・ココ(Career Explorer Coco)
    • 未来の世界からやってきた職業発掘人。VRゴーグルでいろんな仕事現場を覗き見る設定。

(3) プログラム内容の具体像

  1. 職業データの収集 (Riliable Information)
    • 労働統計や職業ガイドブック、企業の採用情報などをチェック。
  2. 職業に必要な能力 (Objective Knowledge)
    • 学歴や資格だけでなく、チームワーク力、語学力、ITスキルなど、現代社会で重要なスキルを客観的にリスト化。
  3. キャラクター設定 (Creative Ideas)
    • 「ココ」がタイムマシンで過去・未来の職業現場に潜入し、そのレポートをGPTが伝えてくれる。
    • 子どもが興味を持った職業の「1日体験ストーリー」を生成する。
  4. 自己理解 (Original Values)
    • 「私はこんなことが好き」「こんな課題に挑戦したい」という子どもの想いを尊重し、それに合った職業や新しい仕事のアイデアを提示。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • GPTに「自分の興味や得意を入力→おすすめ職業を紹介」してもらい、グループで討論。
    • 「こんな職業が将来生まれるかも?」という創造的職業を発案し、PTAや地域にプレゼン。
  • 学習効果
    • 子どもが将来について考え始めるきっかけになる。
    • 社会や仕事の仕組みを知り、学習意欲と自己理解を深める。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 情報の鮮度: 職業情報は時代の変化が激しいため、定期的にアップデートする。
  • ステレオタイプ排除: 「男性/女性向け」などの固定観念に偏らないよう注意し、職業選択の自由度を示す。
  • 現実とのバランス: 夢を語る一方、実際に必要な努力やスキル習得の大変さも踏まえて提示する。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: GPTによる未来の職業アドバイス、子どもが対話的に将来を探究。
  • Riliable Information: 労働データや企業情報を正しく収集し、信頼性を確保。
  • Objective Knowledge: 必要スキルや学歴、労働条件など客観的データを提示。
  • Creative Ideas: タイムマシンやVRで職場を見学するストーリー要素で子どもの好奇心を刺激。
  • Original Values: 「私は何をしたいか」を子ども自身が考えるきっかけづくり。

6. 健康&スポーツアドバイザーGPT

(1) 内容

  • 概要: 食事・運動・睡眠などの日常生活をサポートし、健康維持やスポーツ上達のアドバイスをするGPT。
  • ねらい: 子どもの体づくりや健康リテラシーを高め、スポーツへの興味を増す。

(2) ペルソナ

  • コーチ・フィット(Coach Fit)
    • 元気いっぱいのスポーツコーチ。笛を吹きながら「一緒にがんばろう!」と子どもを応援。

(3) プログラム内容の具体像

  1. 健康データの収集 (Riliable Information)
    • 栄養学、子どもの発達段階に応じた運動指針など、保健体育や医療系サイトの情報を活用。
  2. 客観的指標 (Objective Knowledge)
    • BMI計算や基礎代謝量などを参考にしつつ、無理のない範囲で取り組むように設計。
  3. コーチとの対話 (Creative Ideas)
    • GPTが「コーチ・フィット」として日々の食事や練習メニューをアドバイス。
    • 「今日の運動目標は?」と問いかけたり、褒めポイントをたくさん用意したりする。
  4. モチベーション維持 (Original Values)
    • 「自分の健康を守りたい」「スポーツで成果を出したい」という子どもの目的意識を高めるため、達成感や記録更新の楽しさを演出。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • 「毎日の食事日記をGPTに報告→アドバイスをもらう」「放課後のミニ運動プログラム」などクラス単位で実践。
    • スポーツテスト前に、コーチ・フィットからトレーニング計画をもらい、結果を比較。
  • 学習効果
    • 食育・栄養学・運動生理学への理解が深まる。
    • 継続的な健康習慣の形成につながる。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 個人差への配慮: 体質や運動適性には個人差があるため、GPTのアドバイスを“目安”として扱い、教師や保護者がサポートする。
  • 安全性: 食事制限や過度な運動にならないよう、「専門家に相談を」と促す。
  • 楽しさ重視: 競争ではなく、各自のペースで健康づくりを楽しむ方向性を大切にする。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: コーチ・フィットの励ましと具体的アドバイスがいつでも受けられる。
  • Riliable Information: 栄養・運動の基礎データを信頼筋から収集。
  • Objective Knowledge: BMIやカロリーなど客観的指標を活用し、無理なく進める。
  • Creative Ideas: デイリーチャレンジやコメント機能で、ゲーム感覚の健康管理を演出。
  • Original Values: 自分の体を大切にしたい、運動を楽しみたいという子どもの意志を伸ばす。

7. 世界の文化・言語紹介GPT

(1) 内容

  • 概要: 世界各国の言語や文化、風習、行事を楽しく学び、国際理解を深めるGPT。
  • ねらい: 異文化への興味・関心を養い、多様性を尊重する態度を育む。

(2) ペルソナ

  • グロビィ(Globetrotter Globby)
    • 地球儀の姿をしたキャラ。パスポート代わりのステッカーが体じゅうに貼ってあり、各国で集めたお土産話を披露する。

(3) プログラム内容の具体像

  1. データ収集 (Riliable Information)
    • UNESCOや大使館サイト、旅行ガイドなどから信頼できる文化・言語情報を取得。
  2. 地理・歴史的背景 (Objective Knowledge)
    • その国の位置、主な産業、歴史的出来事など。
    • 言語分布や文字の成り立ちなど、客観的データに基づいた説明。
  3. 対話設計 (Creative Ideas)
    • 子どもが興味を持った国の言語挨拶を学べる。
    • その国の「一番有名なお祭りは?」と聞くと、グロビィが映像イメージを語りで伝えてくれる演出。
  4. 世界への関心 (Original Values)
    • 子どもが自分で選んだ国について「どうして興味があるのか」「将来行きたいか」を考える機会を作る。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • GPTを使ってクラスで「世界一周バーチャル旅行」を企画。
    • お祭りや食文化に関するクイズ大会を実施。
  • 学習効果
    • 異文化理解・多様性尊重の気持ちを育む。
    • 地理・歴史・社会の学びと横断的に結びつけられる。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • ステレオタイプに注意: 国や文化を一括りにしないよう、複数の資料・視点を提示。
  • 最新情報のチェック: 政情が変わった国や名前が変わった都市など、アップデートを怠らない。
  • 言語の発音: GPTが文字情報しか扱えない場合は、実際の音声など他のメディアを併用して補足すると効果的。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: GPTが世界の案内人「グロビィ」として、多様な国・文化を教えてくれる。
  • Riliable Information: 国際機関や大使館など信頼度の高い資料を元に構築。
  • Objective Knowledge: 地理・歴史・社会の客観的データを提供。
  • Creative Ideas: バーチャル旅行やお祭り紹介、言語クイズなどエンタメ要素を盛り込む。
  • Original Values: 子ども自身が「どの国を知りたいか」「どう感じるか」を大切にし、国際理解を深める。

8. AIお絵かきストーリー生成GPT

(1) 内容

  • 概要: 子どもが考えたキャラクターやストーリーのキーワードを入力すると、AIが物語を補完し、絵や挿絵のアイデアを提案してくれるGPT。
  • ねらい: 物語創作を通じて創造力・表現力を育む。

(2) ペルソナ

  • イマジーノ(Imagino)
    • 魔法のペンを持つ創作の達人。子どもの考えを絵や物語に変えるのが得意。

(3) プログラム内容の具体像

  1. 創作素材の収集 (Riliable Information)
    • パブリックドメインの物語や童話を参考に、著作権フリーのイラスト素材も収集。
    • 子どもの描いたイラストや発想メモを取り込んでおいてもよい。
  2. ストーリー構成 (Objective Knowledge)
    • 起承転結やキャラクター設定などの“創作論”を客観的に整理。
  3. ペルソナ対話 (Creative Ideas)
    • GPTを通じて、イマジーノが「どんな主人公? どんな悪役?」と質問し、子どもが回答→話を膨らませる。
    • 絵のイメージや配色のヒントもテキストで提案し、描いてみる楽しさを誘う。
  4. 表現欲求と価値観 (Original Values)
    • 「正義とは?」「どんなテーマを伝えたい?」など、子ども自身のメッセージを物語に投影。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • GPTで構想したストーリーを絵本やデジタル作品としてまとめ、クラス・保護者に発表。
    • 互いの物語を読み合い、キャラクター設定を交換するコラボ創作活動。
  • 学習効果
    • 発想力・文章表現力の向上。
    • 他者の作品を見ることで、多様な創造性を認め合う経験を積む。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 著作権に配慮: 既存キャラクターを無断使用しないよう指導し、独自色を重視。
  • 批判の扱い: 子どもが生み出した物語に対するフィードバックは肯定的な言葉を中心にし、創作意欲を保つ。
  • 適切な表現: 暴力的・差別的内容に偏らないよう、ファシリテーターの見守りが必要。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: GPTを通じて「イマジーノ」がストーリーや挿絵アイデアを提案。
  • Riliable Information: パブリックドメインや自作イラスト等、合法的に活用可能な素材を収集。
  • Objective Knowledge: 物語構成やキャラ設定に関する基本理論。
  • Creative Ideas: 子どもの独創的な世界観を膨らませ、物語を作り上げる演出。
  • Original Values: 自分の想いやテーマを込めた物語を作ることで、自己表現の楽しさを実感。

9. ミニ実験・自由研究サポートGPT

(1) 内容

  • 概要: 夏休みの自由研究や理科のミニ実験などをサポートし、手順や考察方法を指南してくれるGPT。
  • ねらい: 科学的探究心・研究プロセスの理解を深める。

(2) ペルソナ

  • キュリオ教授(Professor Curio)
    • 好奇心旺盛で、いつも実験道具を手放さない発明家タイプの教授。

(3) プログラム内容の具体像

  1. 実験集や学習サイトの情報収集 (Riliable Information)
    • 児童向け実験サイトや科学雑誌の指導案を参照し、安全かつ楽しめる実験を抽出。
  2. 研究デザイン (Objective Knowledge)
    • 仮説→手順→結果→考察→まとめ という研究プロセスをGPTが説明。
    • 必要な道具や時間、データの取り方も客観的に提示。
  3. 対話シナリオ (Creative Ideas)
    • 「キュリオ教授が不思議な試薬を発見!」など導入ストーリーで子どもの興味を引く。
    • 子どもが実験の途中経過をレポートすると、GPTが考察のヒントや追加実験を提案。
  4. 自己探究 (Original Values)
    • 「なぜこの実験を選んだのか?」や「この研究で何を学びたいのか?」を子ども自身で言語化させる。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • 家庭や学校で実際に実験→結果をGPTに報告→次のステップを相談。
    • グループでテーマを決め、実験計画を共有し合う。
  • 学習効果
    • 科学的探究プロセスを具体的に体験できる。
    • データの整理・考察など、論理的思考が身につく。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 安全対策: 火や薬品を使う実験では大人の監督が必須。GPTが提案する実験の実行可否を教師が判断する。
  • 著作権・引用: 他サイトの実験レシピを取り入れる場合、出典を明示。
  • 過度な期待: GPTはあくまでサポート役。実験結果そのものは子どもが主体的に観察・分析する。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: GPTを通じて「キュリオ教授」に相談し、実験や考察のヒントを得る。
  • Riliable Information: 信頼できる科学サイトや教科書の実験情報を参照。
  • Objective Knowledge: 科学的手順やデータ処理などの客観的アプローチを重視。
  • Creative Ideas: ストーリー仕立てや対話的アドバイスで子どもの好奇心をくすぐる。
  • Original Values: 子どもの興味あるテーマを選び、主体的に自由研究を進められるようサポート。

10. 小さな社会起業家GPT

(1) 内容

  • 概要: 学校や地域の課題をビジネスやプロジェクトで解決するためのアイデアを提案し、子どもたちに創造と行動を促すGPT。
  • ねらい: 社会課題への意識を高め、起業的な発想やチームワークを育む。

(2) ペルソナ

  • ビル・ゲイツ(Bill Gates)との仮想対話
    • ただし、あくまで「ビル・ゲイツにインスパイアされた仮想メンター」という形式で肖像権や著作権に配慮。

(3) プログラム内容の具体像

  1. 社会課題リサーチ (Riliable Information)
    • 地域のゴミ問題、子ども食堂、SDGsの関連情報などを現状把握。
  2. 事業計画の基本 (Objective Knowledge)
    • ビジネスモデル、コスト計算、目標設定、プレゼン手法などを簡易的にまとめる。
  3. 対話シナリオ (Creative Ideas)
    • 「仮想ビル・ゲイツ」が子どものアイデアにアドバイスし、リスクや成功例を紹介する。
    • 「こんなアプリを作ってみれば?」など具体的な提案も行う。
  4. 自己表現&社会貢献 (Original Values)
    • 子どもの「助けたい」「こう変えたい」という思いを尊重し、プロジェクト化する。
    • 学校や地域で実践し、小さな成功体験を積めるように支援。

(4) 学習効果・アクティビティ例

  • アクティビティ例
    • クラスで1つの社会課題を選び、GPTのアドバイスを参考に「ミニ起業プラン」を作成→全員でプレゼン。
    • PTAや地域団体に協力をお願いし、実際に小規模なチャリティ企画やサービスを試してみる。
  • 学習効果
    • 社会問題の理解が深まり、主体的に解決策を考えるスキルが育つ。
    • プレゼン能力・チームワーク・経営視点など、多角的な学習効果が期待できる。

(5) 実施上のポイント・注意点

  • 現実的な範囲: 規模が大きすぎる構想にならないよう、教師が段階を設定。
  • 金銭の管理: クラスや学校単位で行う場合、保護者や学校側と連携して会計面を確認。
  • 知的財産権: GPTで生成したアイデアを公に広める場合、権利面の取り扱いを検討する。

AI-ROCOモデルの視点まとめ

  • AI: GPTを仮想メンター(ビル・ゲイツ風)に仕立て、起業アイデアを対話的に創出。
  • Riliable Information: 地域課題や社会課題の現状を公的資料で調査し、客観的視点を確保。
  • Objective Knowledge: ビジネス計画や資金管理など起業の基礎知識をデータや具体例で学ぶ。
  • Creative Ideas: 子どもの発想を起点に、ユニークな社会貢献プロジェクトを生み出す。
  • Original Values: 「社会を良くしたい」「地域に貢献したい」という子どもの内発的動機を強化。

11. 有名な偉人の生き方や名言に学ぼうGPT

1) 概要

  • 内容: 歴史上や現代において活躍した偉人たちの名言やエピソードをもとに、子どもたちが「どう生きるか」や「何を大切にするか」を考えられるよう支援するGPT。
  • 動作例: 子どもが「挫折したとき、どうやって立ち直ればいい?」と質問すると、偉人がどのように逆境を乗り越えたかのエピソードや、その人の名言を紹介し、励ましてくれる。

2) ペルソナの提案

ペルソナ例:タイムトラベル学者 “レガート (Legato)”

  • キャラクター設定:
    • 過去・現在・未来を自由に行き来できる不思議な学者。大きな古書を持っており、そこには世界中の偉人の名言や逸話が記録されている。
    • 人生を音楽にたとえ「どんな音が奏でられるかは、自分次第」というモットーで子どもを勇気づける。
  • 子どもを惹きつけるポイント:
    • レガートが「このページには、あなたに今ぴったりの言葉が記されているよ」と、まるで魔法のように引き出してくれる演出。
    • タイムトラベル先のエピソードを軽妙な語り口で紹介し、子どもの興味や想像力をくすぐる。

3) プログラム内容の具体像

  1. 偉人のリストを準備

    • 世界的に有名な科学者(アルベルト・アインシュタイン、マリー・キュリーなど)、歴史上の政治家・哲学者(ガンジー、ソクラテスなど)、文化・芸術分野(レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、坂本龍馬、宮沢賢治、手塚治虫など)、現代のIT起業家やアスリートなど。
    • 学年や子どもの興味に応じて「偉人=歴史上の超有名人物」以外にも「身近な地域の先人」「現代社会で活躍するロールモデル」など幅広くリストアップしてよい。
  2. 名言やストーリーの信頼性確保 (Reliable Information)

    • 名言・逸話の出典を確認して、フェイクや間違いがないかを点検。書籍や公的サイト、伝記資料を調べる。
    • 必要に応じて著作権や引用ルールを守り、引用部分は出典を明記。
  3. 客観的知識 (Objective Knowledge) と人生観

    • たとえば歴史的背景やその人が達成した客観的成果、当時の社会情勢なども押さえる。
    • 子どもが「どうしてマリー・キュリーは女性研究者なのにノーベル賞を取れたの?」と尋ねたら、当時の女性学者の状況や苦労と合わせて説明する。
  4. 創造的アイデア (Creative Ideas)

    • 偉人同士を「対話」させる発想:「もしガンジーと手塚治虫が会話したら?」のように、子どもの好奇心をくすぐるオリジナル対話シナリオを提示。
    • 「自分がタイムトラベルして偉人に質問をする」という物語仕立てのやりとりを考案し、GPTが返す回答にも個性を盛り込む。
  5. 子ども自身の価値観 (Original Values) との結びつき

    • 質問例:「今の自分に足りないのは何だろう?」「あの偉人の考え方を自分に活かすには?」
    • GPTが「あなたはこう感じているようだけど、これに近い経験を○○さんもしているんだ。こんな風に乗り越えたんだよ」と示すように設計。
    • 子ども自身の感想や考えを表現できるよう、常に自己省察を促す問いかけを意識する。
  6. ペルソナ(レガート)との対話の流れ

    • 初回起動時に「どんな偉人に興味ある?」「あなたが今考えていることは?」という質問を投げかけ、子どもの興味や悩みに寄り添う。
    • 「君が悩んでいるなら、このページを開いてみよう! … ここには○○の名言があるね。これはこういう場面で生まれた言葉なんだよ」と、簡単な物語形式で紹介。
    • 子どもがさらに聞きたいことを入力すると、関連する名言や逸話を組み合わせてAIが回答。

4) 学習効果・アクティビティ例

  1. 自己肯定感・モチベーションアップ

    • 偉人の言葉をバリエーション豊かに紹介することで「困難や失敗は誰にでもある」「そこから学ぶことが大事」といったポジティブなメッセージを得る。
    • 子ども自身が学級や家庭で感じている困難と重ね合わせることで、自分なりの解決策を見いだすきっかけを作る。
  2. リテラシー育成 (Reliable Information + Objective Knowledge)

    • 名言や逸話の出典や史実の検証が大事だと理解する。
    • 「本当にその偉人が言ったの?」「誇張や誤伝じゃない?」などの検証作業をチームで行うと、子どもの情報リテラシーが自然と育まれる。
  3. 創造・表現力 (Creative Ideas)

    • 「自分ならこの偉人とこんな会話をしてみたい」「こんなシチュエーションでこの名言が使えるかも」など、独自のシナリオやストーリーを考えてGPTに実装する。
    • 偉人の名言を「詩」や「寸劇」の形にアレンジして発表するなど、表現活動とも連携できる。
  4. 人生観の深化 (Original Values)

    • 憧れや尊敬の念をきっかけに、子どもが自分自身の夢や課題に向き合う。
    • 「自分も将来こんなことをやってみたい」「あの偉人の姿勢を見習いたい」といった自己の方向性に目を向ける機会になる。

5) 実施上のポイント・注意点

  • 肖像権や著作権への配慮:

    • 偉人の写真やイラストを利用する場合、パブリックドメインになっているか、権利関係がクリアであるかを十分確認する。
    • 現在も著作権のある名言や作品の引用量にも気を配る。
  • 名言の真偽に注意:

    • インターネット上には誤って伝わっている名言も多い。必ず原典や信頼できる文献を確認する作業を重視。
    • 子どもの手本になるような姿勢を維持するためにも、情報の確からしさを大切にする。
  • 現実とフィクションのバランス:

    • 「偉人の人生エピソード」と「GPTペルソナが語るフィクション部分」を明確に区別する。
    • 子どもに誤解を与えないよう、「今のは物語としての演出、でも実際の史実はこうだよ」といったガイドを教師やファシリテーターが適宜行う。
  • 多様性の意識:

    • 偉人選定にあたって、多様な国籍・性別・時代背景・分野を取り入れることで、子どもが広い視野を持てるように工夫。
    • 近代以降だけでなく、古代・中世、あるいは非欧米圏の偉人、女性の偉人などの紹介も重視すると学びが豊かになる。

 【総括】AI-ROCOモデルの活用

以上10のGPTアイデア(+すでに提案した11番目の「偉人から学ぶGPT」も含め)に共通して、次のようにAI-ROCOモデルの5要素が学習を豊かにします。

  1. AI (Artificial Intelligence)

    • 子どもが自然言語で対話しながら学べるノーコードGPTを構築。
    • プログラミングの専門知識がなくても、創造的なアイデアを実装できる。
  2. Riliable Information (信頼ある情報)

    • 公的機関や学術的情報、現地調査など、正確かつ信頼度の高い情報源を参照し、GPTに反映。
    • 情報リテラシーを育む絶好の機会となる。
  3. Objective Knowledge (客観的知識)

    • 統計データや科学的根拠、歴史的事実などをベースにした客観性が、子どもの学びを深める。
    • 「ファクトと意見を区別する」視点が自然に身につく。
  4. Creative Ideas (創造的アイデア)

    • ペルソナ設定や物語性を取り入れることで、子どもが興味を持ちやすく楽しみながら探究できる。
    • クイズ、ロールプレイ、ストーリー展開などの工夫が創造性を刺激。
  5. Original Values (独自の価値観)

    • 子ども自身の興味・関心・大切にしたいことを学習テーマに反映。
    • 社会問題や自己表現などを通じて自分らしさを発揮し、主体的な学びへとつなげる。

このように、各トピックで「1)内容 → 2)ペルソナ → 3)具体像 → 4)学習効果 → 5)実施上のポイント」を整理したうえで、AI-ROCOモデルの観点から総合的に学習をデザインすれば、子どもたちの創造力・主体性・批判的思考が総合的に育まれるでしょう。