AI 教育研究所
(早稲田大学田中博之研究室)

AI教育研究所は、子どもたちの創造力と課題解決力、対話力を育てるために、人工知能を有効利用する方法を研究開発することをねらいとしています。
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  教職大学院の大学院生 Eさん
 AI活用研修会では、ChatGPTやBing Chat、Image Creatorなどの生成AIの基本的な使用方法や教育への活用方法について、実際に生成AIを使用しながら学習した。
 私が専門とする科目はグラフを多く使用する科目であるため、今回の研修会ではChatGPTを活用し、グラフの作成、グラフを活用した問題の作成を行った。
 ChatGPTは自然言語処理に長けているAIであり、グラフや図を作成する性能は低い。そこでテキストベースでコードを生成し、外部サイトを用いてグラフを作成した。初めは簡単なグラフしか作成できなかったが、ChatGPTとの対話を続けるうちに複数のデータを組み合わせたグラフの表示やグラフの色の変更、軸ラベルの表示など、複雑なグラフの細かい調整も可能になった。ChatGPTを用いることで、プログラミングの知識がなくてもグラフのコードが作成できるため、教材の作成に役立つと感じた。また、コードにエラーが起こった際、エラーが起こっている部分と修正案を提示してくれるため、プログラミング教育への活用の可能性を感じた。
 ChatGPTはグラフの情報をコードとして読み取ることができるため、グラフのデータを使用した問題の作成も行った。複数のグラフのコードを読み取らせ、会話文形式の問題を作成した。難易度や出題の仕方など、細かい調整を行えば、学校での定期テストでも使用できるような問題を作成できることを発見した。実際のテストの作成で相談相手として活用していきたいと思った。
 さらに、ChatGPTのCode Interpreter機能を用いたグラフの作成も行った。Code Interpreter機能はExcelファイルやCSVファイル、画像などを読み込み、データ分析やグラフの作成が行える機能である。大量のデータを含むファイルでもChatGPTが瞬時に分析を行ってくれるため、教材作成の際のデータ分析に非常に役立つ機能だと思った。データセットがある場合はこの機能を用いたグラフ作成ができるため、コードを活用したグラフ作成と使い分けながら授業に活用していきたいと思った。
 今回の研修会では、ChatGPTを活用したグラフ作成、グラフを用いた問題の作成を行った。ChatGPTの活用の中で感じたことは、ChatGPTは自分を写す鏡であるということである。ChatGPTから望む答えが返ってこないときは、送ったプロンプトに問題があることがほとんどである。具体的な細かい指示を与え、自分の知りたい答えを明確に伝えていくことがAI活用において重要であると感じた。
 
  教職課程の大学院生 Dさん
 AI活用研修会では、AIに関する使い方や注意点を踏まえたうえでチャットGTPを活用したワークショップを行った。今回の研修会を通じて、私は初めてチャットGPTを使用した。講義や現職の先生方に使用方法を教わる中で、大きく3つのことを感じた。
 1つ目は、自然な会話が成立することである。これまでのように、パソコンやスマートフォンに検索語句を打ち込んで調べ物をすることとは、一味違っていた。人と話すように文字を打ち込み、会話をしているような感覚を覚え、非常に興味深いと感じた。また、場面や立場を設定して多角的な視点からの議論や考察も可能であった。
 2つ目は、内容や返答にところどころで修正が必要な箇所が見受けられたことである。ワークショップでは、ルーブリック評価についてチャットGPTを活用して考察を行った。その中でこちらが提示した条件を守らず、返答をする場面が見られた。しかし、こちらが指摘するとすぐに修正された回答が返ってくるため、学習ができる点にも大きな特徴があると感じた。また、自分の欲しい答えと違う回答が来た場合には、自分の求める回答の為に、色々切り込む視点を工夫することが求められると思う。
 3つ目は、偏差値や学年に関する指示にも答えてくれた点である。レポートの字数や作業時間の相談をしてみたところ、字を書くペースを想定して、適すると思われる文字数や作業時間を提案してくれた。
 以上に述べたように、生成AIを活用してみて様々な発見があった。しかし、落とし穴もあると考えられる。近年、スマートフォンやPCなどのデジタルデバイスの急速な普及や学校現場でGIGAスクール構想が展開される中で、生徒が容易にAIにアクセスできるようになってきている。そのなかで、AIリテラシー能力の育成が必要不可欠であると考えられる。今後、実習や学校現場に出て生徒に教えるためにも、まずは指導する側が教養を身に付けておく必要があるため、活用しながら私自身もAIついてさらに学んでいきたい。

  教職課程の大学院生 Cさん
 生成AI活用研修会では、生成AIの基本的な使い方の学習や、学校教育においてどのように活用していくか実際に生成AIを利用して考えるなどといった活動を行った。私はこれまでChatGPTをはじめとする生成AIについて触れたことがなかった。基本的な使い方の学習でプロンプトの例やチャットの進め方を理解し、そののちに実際に触りながら実践的に活用方法を考えられたことで、生成AIの使い方を身につけることができた。私がこの研修会で特に利用したのはChatGPTであるが、その興味深い特徴に関しても気付くことができた。
 一つ目に、ChatGPTはある立場や人物になりきりながら会話が可能であるという点である。私のグループでは「歴史学者という立場から教えてください」や、「あなたは伊藤博文です。韓国併合についてどう考えていたか教えてください」などといったプロンプトを入力すると、それに沿った回答を行った事例があった。内容としては不十分な点もあり、ファクトチェックの必要性はあるものの、ロールプレイングができるというのは新しい発見であった。
 二つ目に、同じプロンプトを入力しても、チャットを変更すると異なった答えや表現で返答してくるという点である。ChatGPTに汎用的に活用できる、テンプレート的なプロンプトを作成したい場合に、必要な情報を回答してくれるかどうかなどといった妥当性を確かめる際に、この特徴は活用できると感じた。
 私はどのように生成AIを教育に活用していくかという点については、学習指導案本時案が作成できるテンプレートとなるプロンプトの作成を目指した。テーマを変更して入力するだけで、それに沿った目標や展開、評価基準等が作成されるというプロンプトである。ChatGPTの特徴のひとつである、異なるチャットであれば同じプロンプトでも回答の内容や表現にやや揺らぎがあることを活用し、どのようなチャットにおいても、またテーマを変更してもできるだけ普遍的な形式になるように、テンプレートの妥当性を高めながら作成することができた。
 プロンプトからテーマに沿った内容の本時案を作成することができたが、やや表面的な内容となり不十分であった。そのため、「テーマに関して生徒の興味を引くことができる問いを提示したうえで指導案を作成」と指示したり、それを踏まえ、「他の問いのアイデアはありますか」と深堀したりすることで、本時案を作成するにあたってのアイデアをAIから得ることができた。
 このような活用の仕方は、自分なりの授業スタイルを持っている教員が自ら授業改善をすることにつながるだけでなく、若手教員がどのような内容で授業を進めていくか、授業スタイルのアイデアを得ることにもつながる。これから学校臨床実習が始まるが、今回身につけた生成AIの使い方も活用しながら、自己の実践に役立てていきたい。

  教職課程の大学院生 Bさん
 ChatGPT をはじめとする⽣成 AI に対して、質問や要求を何でも聞いてくれる夢のツールだというイメージを私は抱いていました。しかし授業で実際に使ってみると、それは単純なツールではなく、使い⼿のスキルや理解が求められると感じました。⾃分が欲しい答えをもらうためには、明確で整理されたプロンプトを⼊⼒する必要があります。つまり、何でもAI に頼るのではなく、⾃分の考えをしっかりと整理し、それをもとにAIに質問や要求をする必要があります。⾃分の中である程度整理できているものを批判的・多⾓的に⾒直す場⾯や、推敲・再構築する際に⽣成AIは⾮常に有効であると私は感じました。
 ⽣成AIと対話しながら作業を進めると、⼀⼈で悶々と考えていた時よりも成果物の質が高くなる実感を得ることができました。⽣成AIに対しては様々な意⾒があるとは思いますが、私は⽣成AIについてよく学び、上⼿に付き合いたい、上⼿な⽣成AIの使い⼿になりたいと考えます。
 
  教職課程の大学院生 Aさん
 授業内では、中学校理科の単元の目標や単元指導計画の作成過程でBing Chatを使用しました。評価規準などは、教科書出版会社で公開している内容とBing Chatの検索結果がほぼ同じ箇所が複数あり、その部分を採用しました。評価用ルーブリックは授業内でChatGPTを用いて作成し、言葉が不自然な箇所を訂正しました。
 大学院に入学して初めてChatGPTやBing Chatを使用しました。簡単な質問に対して回答してくれるだけでなく、事細かに指示を出すことで指導案例まで提案してくれる機能に驚愕しました。AIの優秀さを実感しましたが、こちらが AI に上手く伝えることができなければ想像と違う形式や文章、その他の提案が返ってくることもあり、AIを使用する難しさも学びました。AIに頼り過ぎるのではなくて、良い部分を選択して活用していく必要があると思いました。
 



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