AI 教育研究所
(早稲田大学田中博之研究室)

AI教育研究所は、子どもたちの創造力と課題解決力、対話力を育てるために、人工知能(生成AI)を有効利用する方法を研究開発することをねらいとしています。
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 子どもたちが生成AIを活用するために身に付けておくことが大切な資質・能力は、何でしょうか? 情報活用能力でしょうか? AI教育研究所では、それは違うと考えます。生成AIは例えば、ChatGPTに代表されるように、情報を検索して要約してくれたりしますから、情報活用能力が大切だと考えるかもしれません。もちろんそれは、間違ってはいませんが、生成AIの新しくて本質的な機能を理解していない俗論にすぎません。

 生成AIは、情報とともに、大量で多様な知識を活用し、知識を連携させ、新しい知識を生み出しながら回答を創造的で洞察に富むものにレベルアップしていけるものです。その証拠に、ChatGPTの機能の一つに、GPTsというユーザ個人がAIプログラムを作成することができるものがあります。その作成画面では、明らかに「知識の入力」の欄があり、生成AIが機械学習による既習の知識に加えて、知らない知識を教えてくださいというフィールドを備えているのです。そのため、ユーザである人間は、そこに生成AIの期待通りの振る舞いを想定して必要となる知識を入力するのです。もちろん、そこに情報を入れても構いません。

 したがって、生成AIを子どもたちが活用するときには、どのような知識を生成AIに学ばせて、期待する振る舞いをさせようかと考えさせることが大変重要になるのです。

 情報活用能力は、すでに35年以上も前から提案されている古い概念であり、それをそのまま、それだけを、最先端の生成AIという人間の知能をも凌駕する革新的技術に応用していいはずはありません。情報活用能力を適応することは間違いではありませんが、それだけでは、人間が生成AIから最大限の知的生産物を得られるようになることはありません。それに加えて、このコラムで提案する「知識活用力」を新しく子どもたちに身に付けさせたい資質・能力として提案することが、今求められているといえます。

 「調べて・まとめて・伝える」だけの情報教育から脱皮して、「構想して・考えて・作って・生み出す」ことを大切にする知識活用教育を開発することを提案します。

知識活用力について、詳しくみてみる。